
バートン・マルキール、チャールズ・エリス(共著):「投資の大原則」
投資を始めたいが、何から読めばいいかわからない。そう思っている方に、手渡したい一冊があります。本書です。
著者はバートン・マルキールとチャールズ・エリス。前回、前々回で紹介した『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『敗者のゲーム』の著者です。その2人が組んで書いた共著になります。投資界の2大巨頭が提供する贅沢な一冊です。
合言葉は「KISS(Keep It Simple, Sweetheart)」。複雑に考えるな、シンプルに続けろ——それを伝えるために書かれた本と言えます。
ページ数は200ページ程度。前の2冊と比べてずっと薄いです。2〜3時間あれば読めますし、本を読み慣れない方でも1日あれば十分でしょう。しかし、内容の密度はとても濃いです。投資の本質が、これだけコンパクトにまとまっている本はなかなかないと思います。
この記事では、率直な感想と50代の資産形成にどう活かせるかをお伝えします。
なぜこの本を読んだのか?
バートン・マルキールとチャールズ・エリスは投資業界の2大レジェンドです。この2人の共著となれば、読まないわけにはいきません。『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『敗者のゲーム』は、正直、ボリュームがあります。
特に『ウォール街のランダム・ウォーカー』は読み応えがあり、読み返す気力がなかなか湧きません。
それに比べると手頃な厚さ。ざっと見て、前述の2冊よりずっと読みやすそう、というのが第一印象でした。
どんな本か(簡単な内容紹介)
本書の核心は9つのルールにあります。
・お金は若いうちから定期的に貯めよう
・会社と国に資産形成を手伝ってもらおう
・不時の出費に備えて現金は用意しておこう
・保険をかけているか確認する
・分散投資をする
・クレジットカードのローンは使わない
・短期運用への衝動を無視しよう
・低コストのインデックスファンドを使う
・オーソドックスな分野に注目
これを実践すれば、失敗する確率が低くなるということを端的にまとめています。投資初心者は心に留めておくべき内容であり、また投資を知り尽くした方も、初心を忘れないために、読む価値があると言えます。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『敗者のゲーム』の情報を削ぎ落とし、最低限必要なことをまとめた。そんな印象がします。インデックス投資の核をより簡単に理解するのに最適でしょう。
前の2冊が、インデックス投資の理論を説明する本だとすれば、この本は、具体的に何をすればいいか」を教えてくれる本だと言えます。
まとめの章では5つのポイントが記されています。
・若いうち貯蓄を始めて、定期的に続けること
・会社の福利厚生や国の退職に向けての制度を活用すること
・市場全体に投資するコストの低い「インデックスファンド」で資産分散を図ること
・自分に合った資産配分を維持するために年1回見直すこと
・自分に決めた投資方法を守り、長期投資を心がけること
9つのルールと重複する点があり、1番目の「若いうちから貯蓄を始めて、定期的に続けること」は、50代以上にはできませんが、9つのルールと5つのポイントに気を配ることで、資産を増やす確率を高められる、と感じました。
50代の投資にどう役立つのか
この本が50代以上に刺さる理由が3つあります。第2版では154ページから「リタイヤ後の投資の進め方」について説明がされています。これは参考になるでしょう。
ポイント① 年齢別の資産配分が具体的に示されている
マルキール案とエリス案が示されている点がおもしろいです。2人は同じような主張をしながら、見解が微妙に違います。マルキールは慎重派、エリスは比較的攻めのタイプであると言えるでしょう。50代・60代がどの割合で株式と債券を持つべきかの目安も示されていますが、自分がどれを選べばいいか、逆に迷うかもしれません。ここでの債券は、現金に読み替えてもらっていいと思います。僕自身は慎重派のマルキール案を参考にすればいいのではないかと思っています。
ポイント② 「大きな失敗を避けよう」という章が刺さる
第4章では、投資でやってはいけないことを具体的に挙げています。高い手数料のファンドを買う、頻繁に売買する、タイミングを読もうとする、個別銘柄を集中して持つ——50代以上では、とくにNGにすべきことばかりです。失敗をしないためのチェックリストとして機能するチャプターです。
ポイント③ 頭に叩き込むべき第5章「暴落期でもあてはまる大原則」
リーマンショックのような暴落時にもKISSポートフォリオは有効だったというデータが示されています。50代にとって最も怖いのは、取り崩しの時期に暴落が来ることです。直面したらどう行動すればいいのか。この章を読んでおくと心の準備ができます。
一番心に刺さった一節
本書の中で、最も印象に残ったのはこのメッセージです。
KISS(Keep It Simple, Sweetheart)
Sweetheartは恋人という意味ですが、投資はシンプルにしろ、という意訳でいいと思います。KISSポートフォリオとして、全世界株式市場インデックス・ファンド(オルカン)と債券ファンド(これも可能なら全世界の債券に分散したもの)を推奨しています。
日本では債券ファンドは、米国ほどメジャーではありません。米国に比べると金利が低いですし、強く推せるものでもありません。個人向け国債や銀行の定期預金、現金に読み替えたらいいと思います。2人の言いたいことは、シンプルに、そして分散させろ、ということです。ここを押さえておけばいいと思います。
実際に読んでみた感想(正直レビュー)
| 項目 | 内容 |
| ◎良い点 | 主張はシンプルで、文章も読みやすいほう |
| ◎良い点 | 2大レジェンドの共著で説得力は群を抜いている |
| ◎良い点 | 投資の基本が過不足なく盛り込まれている |
| △ 惜しい点 | 投資を知っている人には、当たり前のことが書かれていて、目新しさがない |
| △ 惜しい点 | 債券ファンドを勧めているが、日本はアメリカと事情が違う |
| △ 惜しい点 | 余分な情報を削ぎ落としたため、説明が不足と感じる場面がある |
こんな人におすすめ
・まったくの投資初心者
・インデックス投資の要点をサクッと知りたい方
・投資にあまり時間をかけたくなく、勉強もあまりしたくない方
📚 『投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント』をチェックする
まとめ
『投資の大原則』は、投資の基本中の基本を説明した本と言えます。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『敗者のゲーム』をぎゅっと凝縮した要約版です。この2冊は投資のバイブルともいうべきものですが、基本だけ知りたい、最低限のことだけを知りたいというのであれば、この本をオススメします。
貯蓄する。税制で有利な制度(NISA・iDeCo)を使う。インデックスファンドを買う。リバランスする。市場の変動に動じない。
歯切れがよく、わかりやすい。主張がシンプルすぎるため、深みがほしい方には、物足りなく感じるかもしれません。しかし、これらのシンプルなルールを何年も守り続けることは難しいと言えます。難しくても実践しなさい。それこそが、最も効果的な投資戦略ですよ、とこの本は語りかけてきます。
当ブログでは、50代からの資産形成に役立つ情報を発信しています。
次回の記事もお楽しみに。


コメント