つみたて投資の終わり方 100年生きても大丈夫! 人生後半に向けた投資信託の取り崩しメソッドを解説!
著者:カン・チュンド
形式:Kindle版
投資信託クリニック代表の著者が、増やすことではなく、取り崩しに焦点を絞って解説した本です。
なぜこの本を手に取ったのか
新NISAが始まり、積立投資をする人が増えました。ただ、積立を続けた先にある、「取り崩し」について考える人は意外と少ないように思います。
収入で生活できなくなると、取り崩しがテーマになってきます。重要なことなんですが、これに関して解説した書籍は少ないんですね。資産を増やす解説をした本はたくさんあるのですが、資産の減らし方についての本を探すのは大変です。その意味で貴重な一冊と言えます。
終わり方、というタイトルの逆接的なネーミングは、目立ちますね。この手の本がどんどん増えてほしいです。
どんな本なのか
リタイアが見えてきたら、増やすことに集中してきた姿勢を改めなければなりません。この本は、資産を使うことを意識し、どんな準備をしていけばよいかを説明しています。内容は具体的で、実践しやすくなっています。
現役時代と同じリスクを取り続けるのではなく、退職前の数年間を取り崩しの準備期間として考え、リスクを下げる方向で検討していきます。具体的には、安全資産とリスク資産のバランスの調整と、保有する投資信託の見直しになります。
後半では、全資産から一定の割合を取り崩す「定率取り崩し」、定額で引き出す「定額取り崩し」、相場の急落・急騰時に取り崩す安全資産とリスク資産の割合をどう決めるか、などの例を、比較しながら解説していきます。図解があり、イメージしやすいです。
50代の僕たちが受け取れる3つのこと
- 積立投資のゴールは、資産を際限なく増やすことではない
資産を大きくすることだけが、投資の目的ではありません。一番の肝は、生活に必要なお金を、必要なときに引き出して使うことにあります。増やすことに集中すると、使うことに罪悪感を覚え、お金が必要なのに、取り崩せない、といった事態になることもあります。そうなっては、資産を増やした意味がなくなります。本書は、その辺りの思考の転換についても言及しています。 - 退職前の数年間は、資産配分を見直す準備期間になる
収入が減ると、現役時代と同じリスクを取り続けるのは難しくなります。本書は、退職の数年前から安全資産とリスク資産の割合、保有商品の数、売却をどうしたらいいか、減らしていく手順を説明しています。 - 取り崩しには、あらかじめ決めたルールが必要になる
相場が上がったときや下がったとき、その場の感情で取り崩しを判断すると失敗します。上げ相場のときはこういうふうに取り崩す。そんな自分のルールを決めておくことで、資産が急激に減ることを防くことができます。
僕が一番考えさせられたこと
積立投資をしていると、資産を売ることに抵抗が生まれます。せっかく増えた資産を減らすのは怖いし、相場が上がりそうなら、取り崩すのをストップしたくなります。
しかし、資産運用の目的を忘れてはいけません。使うためにリスクを取って増やしたのです。使うべきところで、しっかり使う。それでいて資産を減りにくくする。減らし方のうまい下手で、数百万円の差が出ることもあります。積み立て以上に、取り崩しは計画が大事ということを思い知らされました。
早い段階から準備を始める。ここもポイントです。
正直な感想
| 良い点 | 投資を始める本が多いなかで、取り崩し期に焦点を絞っている。まさに50代以降向けの一冊。 |
|---|---|
| 良い点 | 退職前の準備、資産の整理、取り崩しの考え方がよくわかる。図解され、サンプルも多く参考になる。 |
| 注意点 | 年1回の定率取り崩しなど、具体的な方法が示される。しかし相場の動きは予測できない。定率、定額など取り崩しのルールを決めながらも、現実には柔軟な対応が求められる。 |
| 注意点 | 今後インフレが予想され、健康保険や年金、税制も変化していくと思われる。現在考えている以上に取り崩し金額は大きくなる、という視点も必要だ。 |
この本は、取り崩しの参考になります。自分にとって何がベストをなのかを考え、老後に臨みましょう。
こんな人に向いている
- 投資をしているが、いつ、どう使うかまで考えていない人
- 定年やリタイアが見えてきた50代・60代
- 取り崩しのやり方を知りたい人
- 使いながら長持ちさせる方法を知りたい人
まとめ
『つみたて投資の終わり方』は、資産の上手な減らし方を考える本です。
投資は、取り崩しで本番を迎えるといっても過言ではありません。二人が同じ日に、同じ金額で積み立てを始めれば、20年後、資産の金額は同じです。差はありません。しかし取り崩しは本書の例でわかるように差がつきます。
50代からの資産運用は、増やすことより、減らし方を考えることが大切になります。取り崩しをまだ考えたことがない方は、せび手に取ってみてください。
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